Iの部で作成した内容の多くは、有価証券届出書や目論見書にそのまま転記され、上場後は記載内容をアップデート(年度更新)しながら有価証券報告書に引き継がれていきます。もっとも、上場準備企業にとってIの部は初めて作る本格的な開示資料であり、ボリュームもあることから、作成に手間取る会社が大半です。また、Ⅱの部や各種説明資料と異なり、上場準備時にだけ作成すれば十分という訳ではなく、毎年の開示に備えて自社内で作成ノウハウを蓄積しておく必要があります。
そこでご紹介したいのが、日本IPO実務検定協会が運営している資格制度の「財務報告実務検定」(サイトはこちら)です。財務報告実務検定には【開示様式理解編】と【連結実務演習編】の2つがあります。
試験科目 | 項目 | 主な出題内容 | 上場準備会社での活用 |
財務報告概論 | ディスクロージャーの目的・分類・効果 | 総論、ディスクロージャーの分類、財務報告の範囲と開示プロセス、会計制度改革とディスクロージャー制度 | 〇 |
ディスクロージャーの体制と年間スケジュール | 総論、年間スケジュール、本決算スケジュール | ◎ | |
財務報告基礎データの収集 | 決算・財務報告業務開始前に確認しておくべきデータ、データ収集のツールとしての連結パッケージ、有価証券報告書の各開示項目に必要なデータの概要、財務報告基礎データの収集体制の整備、他社事例の収集等 | ◎ | |
財務報告に係る内部統制 | 総論、財務報告に係る内部統制の評価・報告の流れ、決算・財務報告プロセス等に係る内部統制構築上の留意点 | ◎ | |
金融商品取引法 | 総論、有価証券届出書、有価証券報告書、四半期報告書、内部統制報告書、その他の開示書類、電子開示実務 | ◎ | |
適時開示 | 総論、決算短信、四半期決算短信、決定事実・発生事実、不適正な適時開示に対する措置 | △ | |
会社法 | 各事業年度において作成が必要となる財務情報等、会社の計算等に関する会社役員の責任 | ◎ | |
その他 | その他の提出書類等、IRと任意開示 | △ | |
財務報告各論 (金融商品取引法) |
有価証券報告書 | 開示府令・財規・連結財規における規定内容、各数値の計算方法・整合性、表示に関する計算問題 | ◎ |
四半期報告書 | 開示府令・四半期財規・四半期連結財規における規定内容、有価証券報告書との相違、各数値の計算方法・整合性、表示に関する計算問題 | 〇 | |
内部統制報告書 | 内部統制府令の規定内容、財務報告に係る内部統制基準・実施基準の規定内容 | 〇 | |
財務報告各論 (適時開示) |
決算短信 | 取引所規則における規定内容、有価証券報告書との相違、各数値の計算方法・整合性、表示に関する計算問題 | 〇 |
四半期決算短信 | 取引所規則における規定内容、四半期報告書との相違、各数値の計算方法・整合性、表示に関する計算問題 | 〇 | |
その他の適時開示等 | 決定事実・発生事実・コーポレート・ガバナンス報告書に関する取引所規則における規定内容 | 〇 | |
財務報告各論 (会社法) |
招集通知 (狭義) |
会社法、会社法施行規則の規定内容 | ◎ |
事業報告 | 会社法、会社法施行規則・会社計算規則の規定内容、有価証券報告書との相違 | ◎ | |
連結計算書類 | 会社法、会社計算規則の規定内容、有価証券報告書との相違、各数値の計算方法・整合性、表示に関する計算問題 | △ | |
計算書類等 | 会社法、会社計算規則の規定内容、有価証券報告書との相違、各数値の計算方法・整合性、表示に関する計算問題 | ◎ |